Hitler and Stalin: Parallel Lives

Hitler and Stalin: Parallel Lives

ISBN:9780002154949
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(2017/05/26 22:09現在 )
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商品説明レビュー
   「世界史的人間ないし時代の英雄とは、洞察力ある人びとだと考えるべきであって、彼らの言動はその時代にあって最上のものなのである」。本書の第1巻第10章「スターリンとヒトラーの比較」で、アラン・ブロックは「世界史的個人」の役割に関するヘーゲルのこの言葉を借りて、両者の信念を語っている。

   アレクサンドロス、カエサル、ナポレオンのような“英雄”が「世界精神を実現する途上で、多くの無垢な花々を踏みにじり、行く手に横たわる多くのものを踏みつぶすのはしかたないことである」とヘーゲルは言った。ヒトラーとスターリンがこの言葉を知っていたかどうかはわからないが、2人に共通する信念を「実によく表している」言葉である、とブロックは言う。
   ヒトラーは自らを、神意を受けて敗戦の屈辱とワイマル時代の堕落からドイツ民族を救うよう求められている存在と考えていた。スターリンが自分の使命と考えたのは、何世紀にもわたって続いたロシアの後進性に終止符を打ち、ロシアを農民社会から近代的工業国に脱皮させると同時に、世界最初の社会主義国家を築くことだった。2人の信念がパラノイア人間の誇大妄想ではなかったことは、それがおぞましいものであったにせよ、彼らが歴史に確かな足跡を残したことで明らかだ。

   ヒトラーは「20世紀の最も酸鼻な物語」というべきナチ帝国を築き、スターリンは「粛正」と「収容所列島」という血の凍るような言葉で象徴されるソビエト帝国を築き上げた。20世紀はこの2大恐怖帝国の興亡を抜きに語ることはできない。その意味で、2人はまさしく「世界史的個人」だった。

   彼らはいったい、どのような経緯からこのような信念をもつにいたったのだろうか。ブロックは、ヨーロッパの西と東に現れた巨大な同時代人の出自、人間形成の過程、権力掌握に至る闘争を克明にたどることによって、それを探り出そうと試みている。しかし、結論は「いまだに謎」であった。明らかなのは、2人はネロのような突発的暴君ではないということである。ヘーゲル流にいうなら「いまだ地下にひそむ内面的な精神が、種子の殻を叩くようにして外界を叩き、外界をこわす」ような歴史的人間であり、「どちらもヨーロッパの既存秩序にたいする政治的・思想的挑戦だった」とブロックは言うのである。(伊藤延司)
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